…あ……そうだ私…、飛び出した男の子を突き飛ばして……
事故のことを思い出し、今の状況にも納得する。
私…、トラックに轢かれて病院に運ばれてきたんだ……
この状況がまったく理解できなくて不安だったが、先生も大丈夫と言ってくれているし、もう安心してもいいのだろう。
「あの…男の子は…?」
「あの男の子はねぇ、あなたのおかげでほとんど怪我がなかったのよ。
膝擦りむいたくらいだから大丈夫」
そっか…よかった。
「じゃあ…運転手は?」
「トラックの運転手も通行人も、みんな無事よ、心配いらない」
心配が一通り拭えて、私はほっと息をつく。
話にくかった喉の調子も少し落ち着いてきたようだ。
「いやー、あなたは本当に天使のような人ですねえ。
目覚めてすぐに自分ではなく人の心配をするなんて立派な方だ」
先生はそう言うと嫌味っぽく笑った。
なに?天使って。
笑い方もほんと嫌な感じ…
そのあと、園田さんら警備会社の方々が病室へと入ってきてくれた。
「この度は、私達がいながらこのような事態になってしまい…誠に申し訳ありません!」