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「…おはようございます」

「あら佐々本さん、いつもいつもよく来られるわね?
殺人鬼の妹のくせに」


最悪…。よりにもよって一番嫌がらせをしてくる熊田さんたちと出勤早々に会うなんて。



私は建設系の事務仕事をしているため、職場には女性が多かった。



「あなたも変態お兄ちゃんに調教されたりしていたんでしょ?
まだ未熟な身体のあなたをめちゃくちゃに抱いていたって?
ふふっかわいそうに」


真っ赤に塗りたくった唇が、不気味に釣り上げられた。



そんなわけない。
お兄ちゃんは私のことを一度も性的な目で見たことなんてない。



おかしくなりそうなくらい腹がたつけれど、反論してしまえば「さすが殺人鬼の妹だ」と怖がられることは今までの経験でわかっている。


熊田たちは私が反論しないことを知った上で嫌がらせをしてくるのだ。



「あなたもそんな無害そうな顔して、ほんとはビッチなんでしょう?
ここの所長にも身体売って雇ってもらってるんでしょ?」

「やだ、同性として恥ずかしいわ」

「汚い身体ね」



適当なことばかり言わないで。
…私はまだ誰とも関係を持ったことはない。
汚いなんて、そんなの勝手な憶測だ。



しかしこれにも反論することなく、私は仕事に取り掛かった。