「っ小春」
ーー俺は堪らなくなって、はじめて小春に口付けた。
「ん…っ」
小春が漏らす甘い吐息に身体が熱くなる。
感情に流されてはいけないとわかっている。
痛いほどよくわかっている。
わかっている。わかっているんだ!
でも小春が好きだった。
モニター越しに見ていた頃からずっと想っていた。
どんな酷い目にあっても、一生懸命な小春に惹かれた。
一緒に暮らして、小春の優しさに触れて、もっと小春に惹かれていった。
「小春…ごめん」
唇を離すと、小春は肩で息をしながらこう言う。
「なんで謝るんですか」
キスで腫れぼったくなった唇がかすかに震える。
「俺は…もうここには……」
「言わないでっ!
言わなくていいから…もっと、もっとキスしてください」
俺の大好きな声も、今は弱々しく掠れていた。