「次のターゲットは…佐々本小春。
兄が殺人、か」


渡された資料をパラパラとめくりながら呟いた。



「…たしかにオッサンたちが好みそうな顔だな」


黒くて艶のある髪に、真っ白な肌、目も口も鼻もバランスが整っている。

どこを取っても優しそうな印象を与えるような、清楚を絵に描いたような女だった。


こいつが連続殺人犯の妹か…。
こいつからは想像もつかないな。


…こいつもきっとジジイたちの餌食になるんだろうな。俺のせいで。




俺は自分が1番嫌いだった。
なんの罪もない女を売って、恐怖に貶める。


俺が渡した映像や情報は、クソジジイたちに利用され、気に入られた女は誘拐されて性処理に利用され捨てられる。


捨てるときはもちろん口封じも忘れない。脅して屈服させた上で捨てるのだ。




ほんと吐き気がする。
だが、そのきっかけを作っているのは俺だ。

「…一番のクソは俺だな」



そう言いつつも、俺はハッキングの手を止めることはなかった。