◇◇◇
必要な布団や暖房器具を買い、小春の家に運んでもらうよう手配した。
届くまでには少しかかるそうなので、ゆっくり歩いて帰ることになった。
「なあ、小春」
「なんですか?」
「俺、大雅さんの無実を必ず証明してみせるからな」
「!」
「小春は幸せにならなきゃいけない人間だと思うから」
「…ありがとうございます。
でもね、私今すごく幸せなんですよ?こうして蓮さんと過ごせることが。
だから、無茶だけはしないでくださいね?」
「…ああ」
もう、後戻りはできないと思った。
すぐ離れるつもりでいた。
カメラ越しにそっと見守るつもりだった。
でも近づきすぎてしまった。
俺の心が、体が、小春と一緒にいたいと望んでいた。
こんなにも小春に近づいて、小春の中で大きな存在になって、そのくせ俺はいつか小春の前から姿を消す。
そうしたら小春はどうなるだろうか…
ひどく傷つくだろうか。
俺のせいでこの笑顔が失われてしまったら?
たとえ…そうだとしても、大雅さんの無実を証明することができたら俺は警察に行く。
俺はあの組織を潰す。
そして罪を償って、出所したら俺に浴びせられるべき言葉を受け止めながら一人で生きていく。