私に背を向けた彼の腰に、もう一度抱きついてみる。


「蓮さんって…呼んでもいいですか」


「好きにしろ」


ぶっきらぼうに答えているようだけど、ぶっきらぼうなフリをしているだけで、本当はそうじゃないってことに気がついて、また好きが募っていく。



まだ会って1日も経っていないのにーーー

どうしてこんなにも惹かれているのだろう。



「れーんさん」

さっきよりもさらに強くしがみつくと、「ばかっ、苦しい」って蓮さんが笑った。



「…小春」

「…え」

「おまえとかあんたとかじゃ呼びにくいから…次から小春って呼ぶわ」


「はいっ!」


がんばれそうな気がした。
蓮さんさえいれば、どんな嫌がらせにも耐えられる、そう思えるくらい彼の存在は私の中で大きく膨らんでいた。