私、佐々本小春(ささもとこはる)は小学4年生のときに事故で両親をなくした。
引き取り手のいなかった私を、当時高校生だった、いとこの兄が引き取ってくれたのだ。
なにかと理由をつけて私を引き取ろうとはしない親族に、
「俺が小春ちゃんを育てるからお前らみたいな大人には渡さない」
と兄は言ってくれた。
兄は元々、私と同じように早くに両親を亡くしており、家が近かったこともありよくうちに遊びに来ていた。
なので本当の兄妹ではないのだ。
でも、それでも兄は私を一生懸命育ててくれた。
あの頃まだ高校生だったのに、バイトをいくつも掛け持ちして生計を立ててくれた。
そんなお兄ちゃんが…人殺しだなんてありえない。
だけど、誰も私の言葉を信じてくれなかった。
無力な私。
ほんと嫌になる。