「見て、ほらあの子」

「この前引っ越してきた子がどうかしたの?」


「あなた知らないの!?
あの子のお兄さんはね、少女連続殺人の犯人で死刑になったのよ!」


「うそ!なにそれ…気持ち悪い。
早く出て行ってくれないかしら」



今日も向けられる。
私を、兄を、まるで怪物でも見ているかのような視線ーーー




「…違う。お兄ちゃんは絶対に人殺しなんてしてない」


誰に言うわけでなく、ただひとり、空気に向かって零した。


誰も聞き入れてくれない。
信じてくれない。
それでも私は兄を信じてる。