そう言った小春の瞳は、本当にまっすぐで目をそらしたくなるくらい綺麗だった。



「泣くな」

なぜだか突然涙を流しだす小春に動揺する蓮。


「…怖かったか?
手首痛かったか?」


少し赤くなってしまった手首をそっと撫でるが、小春は首を振った。


「違うんです…。
こんな風に誰かに優しくされたの…、本当に久しぶりだったから」



驚いた。

考えてみれば、たしかにこいつの生活を思い返せばそうだったかもしれない。




「…そうか」


「ごめんなさいっ…泣くなんて鬱陶しいですよね」

急いで涙を拭おうとする小春の手を、俺はグッと引き寄せ抱き寄せた。



「いい。
どんな涙でもいいから受け止めてやる。
だから思いっきり泣けよ」




ーーーその体は驚くぐらい小さくて、少しでも力を入れてしまえば壊れてしいそうだった。

恐る恐る抱きしめる俺の腕の中で、小春は静かに泣き続けた。