「もう一度言う。
こいつは今から頭の女だ。
人の女に手を出そうなんてマネしたら、その首飛ぶと思え。
…もちろん、職がなくなるって意味のクビじゃねえぞ?
おまえのその首だからな」
完全に震え上がった所長は、見たこともないくらいブルブル震えながら頭を上下させて頷いた。
そうして私はこの見知らぬ男の人と路地裏に逃げ込んだ。
「ふぅ…ここまで来れば大丈夫だろ」
「…ありがとうございました」
「ありがとう…か。
俺はおまえに礼を言ってもらえるような人間じゃないよ」
「あなたがどんな人だとか関係ありません。
私にとってあなたが恩人であることに変わりありませんから」