ピンポーン
これほどまでにインターホンの音を嬉しく思ったことなど今までなかっただろう。
はやる気持ちを抑え、転ばないように車椅子で玄関まで行く。
「おかえりなさい!」
「ただいま、小春」
確認もせずに扉を開けた小春に小言を言いながらも、蓮は笑顔で小春を見つめ、その小さな身体を思いっきり抱きしめた。
蓮にしてもらいたかった3つのことが再会して数秒以内に叶ってしまった。
思い浮かべてきたのとは比べ物にならないほどの幸福感に、やっぱり本物じゃないとね、と思った小春は、
「もう二度と離さないからね」
と耳元で呟いた。
不意打ちのその一言に、そのあと暫く蓮からキスの嵐が止まなかったのは言うまでもない。
end