◇◇◇
相変わらず熊田さんたちからの嫌がらせは尽きず、さらには所長からセクハラまでされるようになってしまった。
この職場には規定の制服があるため、毎日スカートなわけだが、所長から「きれいな脚だね」と太ももを撫でられるようになった。
気持ち悪い
気持ち悪い
気持ち悪い
気持ち悪い!!
カサついた大きな手に撫でられるたび、体全身の血がスーッと抜けていく。
でも私はここを辞められない。
曰く付きの私を雇ってくれるようなところは他にはないし、ここだってものすごく探してようやく見つけた職場だった。
被害者家族に払う慰謝料だって、まだ全額払い終わっていない。
「佐々本さん今夜、どう?」
「……はい?」
「最近妻が相手してくれなくて困ってたんだよね。
佐々本さん、相手してくれない?」
「…む、無理ですっ」
「そんなこと言わずにさあ、今夜だけでいいから。
…ここ、クビになったら困るでしょ?」
「っ!」
「…裏口で待ってるから」
気持ち悪くて吐き気がして、でもどうすることもできなくて、トイレの個室に駆け込み、ただ泣くことしかできなかった。
「もう…っやだっ」
ーー小春の心はもう崩壊寸前だった。