俺が俯くと、記者から質問が飛ぶ。


「つまりこの会見は彼女に会うための口実だったということですか!?」

…言われることは覚悟していたが、やっぱりそう思われるよな。


「…この会見を利用して彼女に会おうとしたことは確かです。
組織から命を狙われていた私が、彼女に会いに行って巻き込んでしまうことは避けたかった。
だから彼女の元を去ると決めた日から罪を償うまで会うつもりはありませんでした。

しかし……皆さんもご存知の通り、彼女にまつわるニュースが連日報道され、私は居ても立っても居られなくなりました。


この会見は、たしかに彼女に会うために利用しました。
カメラの前では手出しできないだろうと踏んだからです。


ですが…この会見は、以前からやるべきかどうか迷っていたのも本当です。
警察から発表される一部の情報だけでなく、すべてをここで公にすることで少しでも被害者の方々へ償いたいと思ったからです。


彼女と会いたいと思った気持ちが後押ししたことは確かです…
ですからそれに関してなんの言い逃れもしません。

このような大事な会見を利用しようとしたこと、誠に申し訳ございませんでした」


…被害者からしてみたら……俺は本当にクズなんだろうな。
散々自分たちを苦しめておいて、謝罪の場で自分は好きな女と会おうだなんて。

けど…俺にとって小春は何よりも大事なんだ。
犯罪者の俺を好きだと言ってくれた小春を、どんな手を使ってでも守りたいんだ…!