「…会場の入り口付近に怪しい人物を発見。
確認してきます」
「了解」
私の左側にいた警護の男性が、会場の入り口と思われるドアに向かって全速力で走って行く。
あそこが…会場。
あと少しで蓮さんに会える!
「来るな!!!」
私が気を抜きかけたときだった。
さっき走って行った男性が大声で叫んだ。
驚いてそちらを見ると…
「!!」
警護の男性は拳銃を向けられた状態で、手を上げていた。
「すぐに中にいる警察に連絡して!」
園田さんが瞬時に無線で会場内の人に指示を出し、会場の中からたくさんの警察官が出てきた。
「銃を捨てろ!」
たくさんの銃を構えた警察に囲まれても、微塵も動じていない男は、持っていた銃で天井を撃った。
パーーンッ
威嚇射撃だろう。
誰もがそう思ったそのとき、
「小春逃げろ!!!!」
大好きな…蓮さんの声がした。
驚いて顔を上げれば帽子が落ちてしまったが、それを拾う間もなく、園田さんによって車イスが動かされた。
ガシャーーーーーンッ
「っ!!」
一瞬のことで何が起こったのかよくわからないまま、恐る恐る振り返った。
つい…さっきまで私がいたところに大きなシャンデリアが砕け散っていた。
さっき落としたばかりの帽子の上には、粉々になったシャンデリア。
まさかさっきの男…っ
威嚇射撃じゃなくて私を殺すためにシャンデリアを!!
「確保ーーーー!」
そして、私を殺そうとした男はたくさんの警官によって取り押さえられた。
「小春!早く中へ!」
蓮さんに呼ばれ、園田さんは走って車イスを会場まで押してくれた。
…やっと会えた…蓮さん