「…佐々本さん。
以前、私には息子がいると言ったことを覚えていますか?」


「…はい」

「実はその息子、夫の連れ子なんです。
だから私とは血が繋がっていません。


でも、その息子が怪我をして歩けなくなってしまっても、私は息子のことを嫌いになったりしません。


たしかに息子がハンデを背負ってしまったら、私や夫にも負担がかかるでしょう。苦しくなってしまうこともあるかもしれない。


…でも、それでも大好きだという気持ちは変わらないんです。
足が動かなくなろうとも、息子は息子だから。
この世にたった一人しかいないから。


きっと…蓮さんも同じ気持ちなんじゃないですか?

佐々本さんは歩けなくなっても、佐々本さんです。
彼にとって、あなたはかけがえのない存在。

あなただって逆の立場なら、蓮さんを嫌になったりしないでしょう?



今は余計なことは考えず、蓮さんに会いに行きましょう。
間違いなく、これがラストチャンスです。

私たちに2人を守らさせてください。」


園田さん…

逆の立場だったら…きっと私は蓮さんを支えたいと思っただろうな。
足が動かなくなっても、蓮さんが好き。
絶対好き。


…蓮さんも…そう思ってくれてるの?

私、重荷になっても側にいていいのかな…


「…園田さん、私、蓮さんに会いたい!
蓮さんの重荷になりたくないし、やっぱり不安だけど、それでも今は蓮さんに会いたい…っ

お願いします。

私を会場まで連れて行ってください!」


「かしこまりました。早急に手配いたします!」