◇◇◇
園田たちに付き添われ、車でようやく自宅アパートにたどり着いた。
しかしアパートの下にも報道陣は押し掛けており、その光景を見た小春は恐怖を感じた。
「チッ、しつこい奴らだな…」
「松村くん、言葉には気をつけて。
…と言いたいところだけど、今回ばかりは私も同感だから許すわ」
園田も松村も、小春の朗らかな人柄に惹かれており、密かに妹のように思っていた。
そんな小春が酷い目に遭って、さらには連日記者に追いかけ回され、どんどん痩せ細っていく…
そんな姿を見ていると自分達の無力さに腹が立っていた。
「佐々本さん、アパートの階段を駆け上がるために、私があなたを背負って走ります。よろしいですか?」
「……はぃ」
小春はか細い声で返事をした。
昨日男に触られた感触がどうしても忘れられなくて、気を抜いてしまえば発狂してしまいそうなほどだった。
早く、一刻も早く、蓮さんと過ごしたあの部屋に帰りたい…!
「では佐々本さん、私の背中に乗ってください」
「……ありがとう……」
園田に背負われた小春は、たくさんの報道陣に取り囲まれてしまったが、松村たちが必死に守ってくれたおかげで、今度はすぐに部屋にたどり着くことができた。