「池田ああああああああああああああああああっ!!!!!!」
学校中に響き渡るであろう大声を出しながら俺を呼ぶゴリたんの声。
俺、池田波南斗は教師が、もっとも嫌がる役職、不良のリーダー的な格の生徒だったりする。
え?なんで俺がこんなにもゴリたんに叫ばれてるかって?
そんな理由、一つしかないでしょ。
「制服着崩しまくってるからだよ☆」
学ランの中にパーカー着て、Yシャツのボタン第2まで開けて、学ランのボタンも開け放ってるからね!
それに俺、ピアスめちゃつけてるし?
もう、めちゃ喧嘩売ってるよね☆
体育教師のゴリたんはとにかく足が速い。
けど、俺には、ゴリたんでも俺を捕まえることができない方法を見つけてしまったのだ!!
「ああああああ!!平川先生ー!!!おはようございますー!!!!」
全力で手を振りながら笑顔で俺は平川先生の名前を呼んだ。
「なっ?!平川先生?!」
キュウウウウウウウウッ!!って急ブレーキをかけて、俺は平川先生の後ろに隠れた。
これぞ、俺の最終兵器!平川先生バリアだ!
ゴリたんが平川先生のこと好きって俺知ってるもんね!手が出せなくなるって知ってるもんね!
俺は勝ち誇って余裕をぶちかましてた。
「池田くん。私ね、池田くんに頼みごとがあるの。」
「なに?ゴリたんから俺を守ってくれるならきいてあげるよ。」
「もちろん、守ってあげるわ。」
ふふふと可愛い声を出しながら俺に微笑む平川先生は天使に見えた。
こりゃ、ゴリたんも好きになるわ。
とか思ってたら、平川先生の口から面白い言葉が出てきた。
「あなたに、生徒会長をやってほしいの。」
ん?俺の聞き間違いかな??
「ちょ、もっかい言って?」
「だから、生徒会長。やってほしいの。」
んんん??これは、聞き間違いじゃないパターンかな???
「もう、生徒会室に他の人はいるから。ほら、一緒に行きましょ?」
ズルズルと俺は引きづられている中、思ったことがあった。
「ゴリたん、なんで一緒にきてるの?そんなに俺をしばきたいの?」
「あ?あー、そっか。お前は知らないのか。」
え、なに。嫌な予感しかしないんだけど。
「俺と、平川先生は、生徒会の担当者だ!」
うっわ!めっちゃキラキラしたオーラ放ってるよ!!
そんなに平川先生と一緒なのが嬉しいのかよ!!!
え、てか、え?
「待って、生徒会の担当者ってことは、俺元々平川先生のとこに逃げるってゴリたんわかってたの?」
「ああ。というか、平川先生が俺に指示して、お前をあそこまで走らせたんだよ。」
え、ちょ、待てよ。ていうことは、ゴリたんよりも平川先生が一番の悪魔じゃん!!!
ギギと音を出しながら、上を向いたら、
真っ黒な笑みを浮かべた平川先生と言う名の悪魔がいた…
そういえば、俺をひきづってるのもゴリたんじゃなくて、平川先生じゃん。
「女って怖ええええええええええええええ!!!!」
俺に悲痛な叫びは誰にも届くことはなく、木霊して消えた。