あの時、妖の世界が崩れ去り、
人との共存が望まれた。
しかし、異形の存在とされた妖は
闇に押し込まれ、
やがては空想のモノにされた。
人は、異形を視界に写すことを拒否した。
妖は、存在しているにも関わらず。
そして、人々が異形を嫌うようになるころ、
最も異形に近い存在の人間たちは
陰陽師と呼ばれるようになった。
妖力を宿し、ほかの人々よりも遥かに妖に近い輩であった。
妖力を宿す同胞であるはずが、
いつしか互いに憎みあい、
互いを牽制した。
それによって生まれたのは
数々の妖の死と、この悲劇である。