七瀬朱里、17歳。
今日の前髪の調子は今世紀1の出来。
爪も磨いて、リップもばっちり。
新学期早々の抜き打ちテストも、たまたま勉強していたところで何とか乗り切れた。
今日は普段私のことなんて目もくれない近所の野良猫が擦り寄ってきて甘えてきた。
「もう、この日しかない…!」
こんな何もかもが上手くいっている日なんて、そう滅多にくるものじゃない。
きっと、今日しかない。
誰もいなくなった放課後。
意気込む私の手には白い封筒。
そして目の前には15番のシールが貼られた靴箱。
「よし…!できる、できる…!」
七瀬朱里、一世一代の告白をします。
──と思った矢先、
「あーちゃん何やってるん」
「ひっ!い、い、いえ、別に何もっ!?」
意気込む私にかけられた声に驚いて、勢いよく靴箱から背を背けた。
…ん?でも、聞いたことある声…っていうか、すごく聞き覚えのある関西弁。
恐る恐る声の方に振り向く。
「あっ!みよっちゃん!みよっちゃんだ!」
「何?さっきの声。お化け見た時の声やで」
「ご、ごめん!」
少し口を尖らせて拗ねる関西弁の彼女は
三好由紀*Miyoshi Yuki*通称『みよっちゃん』
ふわふわとした茶色のくせ毛が可愛い
私の大好きな友達。