「準備できた?」

澄香の準備は女子の割には早い。
まぁ、化粧もしないし、派手に着飾ることもないからだろうな。
俺としてはそっちの方がいい。
澄香は化粧をしなくても充分可愛い。

澄香は学年で一番かわいいと言われている。
本人は気づいてもいないし、ましてや自分が一番かわいいなんて思ってもいないだろう。
鈍感なんだよなぁ・・・・

けど、そこも含めて好きなんだけどね。

「出来たよ~おまたせ~!」

うん。今日も可愛い。制服姿、誰にも見せたくない。

「寝ぐせ、ついてるよ。」

「え!?ホントに!?」

焦って寝ぐせを直すところもホントに可愛い。

「直った?」

その上目遣いは反則。俺じゃなかったら手、出されてるよ。

「大丈夫だよ。直ってる。」

「良かったぁ~ゆうちゃんが教えてくれなかったらそのまま行くところだったよ。ありがとう。」

こうやって素直にお礼を言える澄香がホントに愛おしい。

はやく、俺のものにしたい。でも、この気持ちを伝えたら今の関係はどうなるのかと色々考えると自分の気持ちを伝えることが出来ない。臆病だよなぁ~と思いながらも小学生のころから今まで来てしまっている。

「よしっ!学校に行こう、ゆうちゃん!」

グイっと手を引っ張られる。触れることに躊躇いはないのかとちょっと残念がりながらも嬉しかったりもする。ほんと、複雑。

「あんまり急ぐと転ぶよ?」

そういいながら学校に行く。




澄香side
私には好きな人がいる。
それはいつも私を起こしに来てくれて、優しい幼馴染の
ゆうちゃん。
ゆうちゃんはいつも私が助けてほしい時に助けに来てくれる。
私が悲しい時には必ずそばにいてくれる。

でも、ゆうちゃんには好きな人がいる。
それは噂で知った事だけ。
本人には聞いていない。

ううん。怖くて聞けない。

もし、いるよと言われたら素直に喜べる自身が無いから。この関係も生活もその一言で終わってしまう気がして聞けない。それと同時に、私の想いを伝えて関係が壊れてしまったらと思って自分の気持ちも言えない。複雑。

このままでもいいかなと思ったり、でもゆうちゃんを誰にもとられたくないという気持ちもある。

そんな想いを抱きながら日々過ごしている。

いつか、話せるときが来るかな。

いつか、幼馴染以上の関係にもしもなれる時が来るかな。

そんなことを毎日考えながら学校に行くのであった。