「今まで足りなかった分、これからはちゃんと言葉にする……全部言う。毎日言う」


一方的に宣言した俺に、羊ちゃんは困惑気味だった。
それでもいい。突き放されないのなら、もう何でもいいんだ。


「羊ちゃん、好き。ほんとに好き。もう羊ちゃんしかいらない。羊ちゃんがいい。羊ちゃん以外目に入らない……」

「え!? え、あの、」

「すっごい好き。こんなの初めてなんだ……お願いだから、逃げないで」


際限なく湧き出てくる彼女への気持ちに、一番恐怖を感じているのは自分自身だった。
だってこんなのは生まれて初めてで、どうしたらいいのか分からない。自分でも持て余してしまうくらい、日に日に彼女への愛しさが募っていく。

だから全部余さず伝えないと、行き場がなくておかしくなってしまうんだ。いや、もう既に彼女の毒に侵されてしまっているのかもしれない。

羊ちゃんに嫌われたくない。優しくしたい。いなくなってしまうのが、いつか愛想を尽かされて逃げられてしまうのが、何よりも怖い。彼女がいなくなったら俺は、今度こそ死にたくなる。


「羊ちゃんだけなんだ……俺のこと、全部受け止めてくれたの」