ん? と、内心首を捻った。
話が飛躍しすぎている気がする。どうして私が狼谷くんを嫌いとか、そんなことになるんだろう。

彼の言葉を整理しようと考え込んでいると、狼谷くんが絆創膏の端を剥がし始めた。


「何で隠すの? 隠しちゃだめだよ。こういう時のためにつけてるんだから」

「え、っと」


皮膚が引っ張られる感覚。ゆっくりと剥がされていくそれに、私はひたすら困惑した。

狼谷くんは最後まで丁寧に剥がし終えると、その箇所を指でなぞりながら呟く。


「どうせ見えなくなるんだったらもっとしっかりつけとけば良かったか……」


こんなんじゃ薄い、と小さく零した唇が、私の首筋に降りてくる。


「えっ、狼谷くん……!」


制止の意味も込めて彼の胸板を押したけれど、離れる気はないらしい。それどころか私の背中に腕を回すと、狼谷くんはそのまま首筋に強く吸い付いた。


「んっ、」


少し、痛い。
今週の木曜日だろうか。委員会のあと教室へ連れ込まれて、彼に今と同じことをされた。その時よりも今の方が痛いし、長いけれど。

唇が離れたと思えば、またすぐにくっつく。今度は痛くない。軽く吸われて、それが小刻みに何回か。


「羊ちゃん、もう隠しちゃだめだからね。消えたら教えて、またつけるから」