曇り空を一瞬で晴れ渡らせてしまうような、そんな力が彼女にはある気がする。
率直に述べた九栗さんに、何だか気持ちが軽くなった。
「うん。じゃあ行こうかな」
「ほんと? やったあ、人数追加っと。あとでねー!」
手を振り隣のテーブルへ向かった九栗さんを見送りながら、彼女が学級委員になるのは必然だったんだろうなと納得する。全く嫌味のない良い子だ。
「珍しいね。羊、いつもラウンドオンは行きたがらないのに」
隣に座るカナちゃんが言う。
「うーん、まあたまにはいいかなって」
「そうだねえ。楽しんできなよ」
「えっ、カナちゃん行かないの!?」
誠に勝手ながら、何も言わないから私に合わせてくれているものだと思っていました……。
途端にしょぼくれた私を見て、「うそうそ」とおかしそうにカナちゃんが肩を揺らした。
「行くって。羊がまた鼻血出したら大変だもん」
「何で出す前提なの……」
まあ前科があるから強くは言い返せないけれど。
流石にクラス全員の前でそんな醜態を晒すわけにはいかない。
静かに拳を握って、一人決意を固めた。