「アヤー、今日時間ある?」
「ん、あるけど、ユウジ、部活は?」
「今日は休み! だから一緒に帰ろう」

帰りのホームルームが終わって、ユウジがやって来た。

白い歯、すらりとした長身、明るい笑顔。
ああ、これだからユウジは爽やか系イケメンと言われるんだろうなぁ。

そんなことを思いながら、あたしは鞄に宿題のある教科書を詰め込んだ。

「高坂さん、お疲れ様」
「わっ、先生!」

もう教室を出て行ったと思ったら、カズヤ先生ったらまだいたんだ!
あたしに彼氏がいるっていうの、なんとなくバレたくなくて、必要以上に大きなリアクションをしてしまう。

「そんなにビックリしなくても」

先生は笑っている。
ユウジとはまた違う感じの…そう、なんていうのか屈託のない笑顔ってヤツ?

でも、先生ったらなんであたしに声をかけたんだろ。

突然、その意味に期待して、心臓がバクバク鳴り出した。