「わかる? そうなの?」

あたしはマヌケな質問をしてるかもしれない。
相手のことを思っていれば、そういうのって言葉を必要以上に交わさなくても、なんとなく分かるものかもしれないのに。

「うん。発掘によって歴史が塗り替えられていくのって、すごくワクワクするんじゃないのかな~」

あたしにとっちゃ雲の上の話をしてるみたいだ。
正直、歴史がどう変わろうが、あたしには関係ないと思ってる。
今、あたしに必要なのは過去じゃなくて現実だもん。
それに、過去を変えられるなら、あたしの悩みなんてとっくになくなるはず。

「話変わるけど、アヤ、カズヤ先生と仲いいねぇ」

チャコがニヤニヤしながら言った。

「ええー、そうかな。たまたまノートのことがあったからじゃないの~?」
「わたしの、カ・ン。ホーント、アヤってモテるよねぇ~。コウキ君もいい人だったし、土井くんもイケメンで優しいし、カズヤ先生はスマートで大人の男って感じ?」
「だから、カズヤ先生は気のせいだって!」

そう言いながらも、チャコがそう思ってくれてるのが嬉しい。

「まあ、アヤは今土井くんがいるからないとしても、そういう『ときめき』は必要よ~」

チャコがそんなこと言うなんてねぇ。
斎藤くん一筋なのに。

チャコも、斎藤くんのことは置いといて、別に好きになることってあるのかな。