先生と一緒にいられるのも、あと数日。
教育実習生は忘れちゃいけない、大学生なんだ。

「教職を取ったからって、教師になるとは限らないみたいだし、カズヤ先生はどうするのかなあ」
「先生になって欲しいな~。ああいう先生ばっかりだったらいいのに」
「だよねぇ。だけど先生になるのって大変だろうなぁ。いろんな生徒がいるわけだし」

チャコがやけに大人びて見える。

「あれから斎藤くんとはどうなってるの?」
「ぼちぼちね。ふふ、一緒の大学行けたらいいな~って思ってるけど」

おおぅ、そんな先のことまで考えてるとは。
あたしなんて、卒業後の進路なんて考えたこともない。
カズヤ先生は、あたしたちの年頃にはそういう進路のこととか考えてたんだろうか。

「ナオトはね、研究者になりたいんだって」
「研究者って、え、実験とかするの?」
「そうじゃなくて、なんか考古学の研究したいらしいよ。遺跡で発掘したり分析したり」
「へぇ、斎藤くんらしいっちゃらしいけど…なんか地味…」

と言いかけて、はっと口を押さえた。

「ゴメン。その、そういうんじゃなくて、こう、そういう黙々とってのがあたしはどーも苦手で」
「アハハ。アヤはそうだろうね~。わたしもそうなんだけど、ま、ナオトの言うのもわかるし」