世界史の授業が始まった。

「では、今日は前の続きということですが、今回は高坂さんのノートをみんなに紹介したいと思います」

げげっ!
カズヤ先生、何をおっしゃる!

あたしが顔を真っ青にしてるところへ、クラスメートの視線を感じる。
そりゃ、もう、びんびんに。
チャコがぱあっと明るい顔で、あたしを見てにっこり笑ってる。

「こんな風に、ちょっとした雑談もメモしておくといいですよ。世界史はややこしいから暗記しがちだけど、こういうこともメモしておくと興味が湧くでしょ」

センセー、湧きませーん。
あたしはたまたま書いただけで、別にそんなことを狙ってたわけじゃない。

でも、先生があたしを見てにこにこしてるのを見ると、悪い気もしない。

先生はコピーをクラスメートに回した。
あたしの汚い字…すごく癖があって、多分読みづらいことこの上なしなんだけど、それがクラスに配布されるのはものすごく恥ずかしい。
でも、初めて人から注意された…というか、親以外の人から褒められた。
それが、すごく嬉しかった。