「私がどんなに斎藤くんの教室の前で待ってても、全然気づいてくれないでしょ? だから、別の作戦に出たのです」

さて、それはどんな作戦でしょう?

って言いそうな感じであたしに言った。

「うーん、分からん。降参!」
「しょーがないなぁ。じゃ、教えてしんぜよう」

チャコは本当に嬉しそうだ。

「斎藤くんは、学年でも上位でしょ? だから、私もそうなれば、ちょっとは見てくれるかなーと思って」
「え、まさか」
「そそ。私、前の中間テストも、統一テストも、良かったんだ」

知らなかった。
あたしは上位の成績には無縁だからって、もう全然見なくなってた。
噂とかで成績いいコの話は聞くけど、最近急に伸びてきた人なんて知らない。