校門を出て、二人はすぐに左に逸れた。
あたしは気づかれないように、そっと二人を追いかけた。

楽しそうにおしゃべりしてる二人は、まさにカップルそのもの。
手はまだ繋いでないけど、多分、二人は惹かれあってる。

手を繋がないところが、なんだかあたしには余計にショックだった。
コウキは、まだあたしと別れてないから、そうしないのかもしれない。
佐々倉さんも、コウキには彼女がいるって知ってるからかもしれない。

あたしの目尻からは、すぅっと涙が頬を伝った。

あたしは呆然と立ち尽くして、二人が遠ざかるのを見守っていた。
そのうち、後ろからどんどん野球部の人たちが追い付いてきた。
中には、あたしだと気付いて、顔を覗き込もうとする。

あたしは、顔を隠すように走って行った。
コウキたちとは、反対の方向…。
それは、コウキとあたしの家の方向だった。

コウキは、佐々倉さんを送るため、わざわざ遠回りしていたのだった。