あたしは、その日の放課後、チャコに事情を話してコウキの部活が終わるのを待つことにした。

「アヤ、頑張って! 上手く行くのを祈ってる」

チャコは、あたしとコウキがヨリを戻せばいいと思ってくれている。
あたしは笑って手を振ったけど、そんなつもりはない。
ただ、久し振りにコウキと帰りたかっただけだ。
ユウタの方が好きだけど、あたしはやっぱりコウキのことが嫌いじゃない。

都合良く付き合うってのも、あたしはイヤ。
あたし、コウキに確かめなきゃ。

グラウンドで一年生のコウキは、隅の方で筋トレをしたり球拾いをしたりしている。
地味だけど、それがレギュラーへの道なんだ、って言ってたっけ。

先輩たちが練習を終えて部室に引き上げても、一年生は最後にグラウンド整備をしている。
帰るの、道理で遅くなるわけだ。

今頃になって、あたしはコウキのことを、はっきり理解しようとしていた。
あたしにとって都合のいいところしか、見てなかったんだ。
そのことを、いまさらになって気づいた。