あたしがコウキのことをチャコに話すように、コウキにもチャコのことを話すようになった。

コウキは練習が忙しくてなかなか会えないけど、相変わらず電話はくれていた。
それに、数少ない練習が休みのときを見計らって、あたしたちは十分に話をすることが出来た。

コウキも、チャコを「いい友達」と言ってくれた。

「大切にしろよ~。アヤは女子とつるむのが苦手だって言ってたけど、やっぱ味方は必要だろ」
「わかってますって」

久々のデート。
と言っても、高校生のわずかなお小遣いでは遠くには行けない。
近くの公園とか映画が精いっぱいだったけど、いつもと違うところにコウキといるのがとても新鮮だった。

「あっ、雨」

梅雨がもうじき始まると、そういえば天気予報が言っていた。
ぽつぽつと雨が降り出して、あたしたちは屋根のあるところへ駆け込んだ。

「ひゃあ、派手にやられたね」

お互い、ずぶずぶになっている服を見て、笑った。

「このままだと確実に風邪ひいちゃう」

かと言って、どうすることもできない。