タイシ君の言った「口実」がなんのことだか。
あたしにはさっぱりわからなかった。

「ごめん、アヤちゃんを巻き込んでしまった。ただ、マリが離れて行って、寂しかったから、誰かに聞いてほしかったんだ」

ああ、そういうことか。
やっぱりタイシ君、マリのことがまだ好きなんだ。
あたしは、なんだか妙にホッとした。
そして、タイシ君に親近感をもった。
こんな人でも、やっぱり恋のことで悩むんだ。

あたしと、おんなじ。

「いいよ。あたしで良かったら、いくらでも聞く。とことん付き合うよ」

にっこり笑うと、タイシ君も笑った。

「ありがとう」

コーラを一口飲んで、あたしはタイシ君の話に耳を傾けた。