あたしとタイシ君は、マックに入った。
お金がないので、飲み物だけ。
と思ったら、タイシ君がポテトを買ってくれた。

「一緒に食べようよ」

なんて言われると、ちょっとグッときてしまう。
ああ、いけないクセだなぁ。
なんで、あたしはすぐに惚れてしまうんだろう。
まだ、この感情が恋ではないので、それ以上進まないよう、冷静にならなきゃ。
冷静な人を目の前にしていると、安心して暴走してしまいそうだ。

「ええと、マリから『会ってやってほしい』って言われたんだけど…」
「うん、早速だね」
「ごめん、あたし急ぎ過ぎかな」
「そんなことないよ。単刀直入な方が、僕もやりやすい」

やっぱり斎藤クンタイプだなぁ。
こういう人も、いいなぁ。
あたしにないものを持っている人だし…。
あたしに気があるって、本当かな…。

そんなことを考えていると、タイシ君は言った。

「いきなりだけど、今日来てもらったのは、『口実』なんだ」