結姫ちゃんが亡くなってから10年。
彼女は白雪姫と呼ばれ、たくさんの人から愛されるような子だった。
彼女が亡くなってからしばらくは病院内がとても寂しかった。
いつも本読みをねだる子どもたちがいなくなってしまった。
そしていつも彼女に会いに来ていた賑やかなお友達たちもいなくなってしまったから。
けれどある日からみんなが再び病院に来るようになった。
結姫ちゃんがいた時のように頻繁ではなかった。
けれどその度に彼らは子どもたちへ読み聞かせをしたり、一緒に中庭で遊んだり
まるで結姫ちゃんが生きてた時のように。
それから彼らはそれぞれ将来の夢に向かって羽ばたいていった。
しかしみんなは年に数回、必ず病院に遊びに来てくれる。
それに今はつぼみちゃんが看護師として私と一緒に働いている。
あんなに人見知りで大人しかった女の子が、今は立派な看護師になっている。
とても嬉しいことだ。
今日も私はばりばり働いている。