昨日のことを知った、男子が動画を一斉送信したらしい。
なんで?
私、被害者なのに。
だれも味方になってくれない。
小学生のことの唯一の友達、萌ちゃんは私立の中高一貫の学校に行っちゃったし。
こんなの無理…。
でも中学生の頃はまだマシだった。
高校生。
そう心躍る響きでしょ?
私には怖くて怖くて。
でも行くしかなくて。
入学したらそう。
もう噂は広がっている。
その噂でなんでか、
私はいじめられた。
汚いから?
私は、そうしたくてそうしたわけじゃないのに。
誰もわかってくれない。
私はそう思って、口を開けず、ずーと静かに、いじめに耐えていた。
「てことがあったのよ。」
は?
なんで陽愛は逃げた?
それ聞いて俺が嫌うと思ったから?
いや、そもそも陽愛は俺のことなんか好きじゃない。
じゃあ、なんでだよ。
お義母さんは悲しそうな顔をする。
「拓也くんは、陽愛のこと軽蔑しないわよね?陽愛、悪く言われることの方が多いけど、同情されることも嫌がってるの。拓也くんは「分かってます。俺は、陽愛をかわいそうとは思わない。」」
お義母さんの言葉を遮って、俺は話した。
これはほんとだ。
「ありがとうございました!」
俺はそういい、その場を立った。
「あの!陽愛のこと、よろしくお願いします。」
「はい!」
お義母さんは嬉しそうに、どこか寂しそうに、笑った。
探し出してやる。
そう思ったけど、
萌ちゃんって誰だよ。
プルルルル
そんなことを思っていると、知らない番号から電話がかかってきた。
「もしもし。」
『もしもし~?拓也くんですか?』
え、だれ。
「そうですけど、どなたですか?」
『私、陽愛に萌ちゃんって呼ばれてる者です!』
萌ちゃん…。
あ!場所!
『あのね、陽愛から無理矢理番号聞いて電話したんだけど。もう、陽愛置いとくの疲れちゃったからさ笑迎えに来てよ。住所言うから、メモって!』
俺は急いでメモ用紙を用意した。
『…だから!なるべく早くね~!』
「ありがとう。」
そう言って電話を切り、その住所へと向かって走った。
はぁ。
疲れた。
ここか?
インターホンを押す。