「ごめん悠!今日雛と帰るから一緒に帰れない」


「ごめんね、片寄くん、界くんお借りします」


「あぁ、別にいいけど…」


「じゃあな!」


「それじゃあね」


「ばいちゃ〜」




それぞれ俺に手を振る界たち。




「いや、待て、なんで凪もいるんだよ!」




しれっと雛ちゃんの隣にくっついて一緒に帰ろうとしている凪。




「え?なんでって…暇だし?雛といたいし?界認めてないし?」




いやいやおかしいだろ…


界もなんで止めねぇんだよ…


チラリと界の顔を見るも、界は至っていつも通り。


これだから恋愛初心者は…


俺は深く溜息を吐き、凪の背負ったリュックを掴んで手前に引き寄せた。




「凪はこっち」


「ッ!!!?」




一瞬なにが起こったかわからずに、目を大きくさせた凪。




「なに、悠凪と帰るの?」




顔をキョトンとさせた界。


お前のためだ恋愛初心者め。




「あぁ、暇だし」


「はぁ!?やだ、ねぇちょっと離してよ!あたしも雛と帰るの!!」




ジタバタと暴れる凪。




「凪…」




雛ちゃんが凪を心配そうに見つめる。




「雛、助け…」


「雛ちゃん、界のことよろしくね?凪のことは俺に任せて」




助けを求める凪の言葉を遮って、ニッコリと笑って言うと、雛ちゃんはまだ少し不安そうな顔を残すも頷いた。




「また明日ね、凪」


「雛ぁぁぁぁぁあ」




背中を向けた雛ちゃんに悲痛の叫びを上げる凪。