「俺彼女できた」
親友の何気ない一言に手にした箸の先からプチトマトが転げ落ちる。
「…今なんつった?」
「彼女できた!」
そう得意げな顔をしてみせる界。
俺と界は家が隣同士で、親同士も仲が良く、幼稚園の頃から一緒の親友かつ幼馴染。
そして人並み以上に整った容姿の俺たち。
そんな俺たちが並んでいればそれはまぁ女子が集まる。
それなりの人数と付き合って、それなりに経験のある俺。
ただし、長続きしたことはない。
そんな俺とは対照的に、界は恋愛経験がない。
思い返すと今まで界の口から女絡みの話をされたことがない。
それだけに先ほどの界の一言には衝撃を受けた。