海岸線に出る直前にトンネルがある。
その区間だけは窓に電車の中がはっきり写る。

いつからか、窓越しに彼と目が合うようになった。

最初は勘違いかと思ったけれど。
ここまで合うのは勘違いじゃないだろう。

彼も私のことをなんて、都合のいいことを考える。


4月からはきっと、先輩は遠くに行ってしまう。
先輩はおそらく、バスケの名門の私大に行くだろう。

会えなくなる。
一言も話したことがないままに、会えなくなるのは寂しくて。
せめて、私の気持ちだけでも伝えたい。


願わくは、私と同じ気持ちでありますように。