すれ違うたびジロジロ見てきた人の数も、だんだんと減ってきた。


そろそろ旧校舎だ。

近づいてくる旧校舎の気配に、なんとなく気が急いて歩く足を速めた、その時。


「まさか、学校来てたなんてー!
会えて嬉しいっ!
どこで授業サボってたのー? ミウも一緒にサボりたい〜」


「んー、内緒」


高めに持ち上げられた女子の声と、それに続いて聞き慣れた声が、渡り廊下すぐ近くの校舎裏の方から聞こえてきた。


この、どこにいてもとおる甘い声は──明希ちゃんだ。


深くは考えずに、渡り廊下を外れて校舎裏へ足を向ける。

そしてそっと壁に隠れて校舎裏を覗けば、ボブヘアーの女子と明希ちゃんが、楽しそうに談笑しているのを見つけた。