昼休み。
私は6段の重箱を抱え、渡り廊下を歩いていた。
なんだか寝つけなくて、明け方の4時頃完全に目が覚めてしまい、やることもなくてお弁当を作ってきたのだ。
せっかく早く起きてひとり分というのも味気ないから、ふたり分。
私と、明希ちゃんの分だ。
なんだかこうしていると、本当に付き合っているみたい。
だけど、だれの分を作ろうか考えて、思い浮かんだのが明希ちゃんだった。
もちろん私にはお弁当を一緒に食べる間柄の友人はいないし、なんの根拠もないけど明希ちゃんなら喜んでくれる気がしたから。
とは言え、明希ちゃんにはなんのアポイントも取っていない。
もし明希ちゃんがお弁当を持ってきていたら、そのときはそのときだ。私が6段全部食べればいい。
明希ちゃんが大好物だと言っていた卵焼きも、いっぱい作ってきた。
おいしいと言ってもらえるだろうか。
そんなことを考えながら、えっこらえっこらと重箱を運ぶ。
食べてしまうのは一瞬なのに、作るのも運ぶのも時間がかかる。