未紘は、昔はよく笑う子だったと母は言う。 変わってる子だけど、小さなことにもけたけた笑うから、つられてこっちまで笑っちゃうのって。 そんな話を聞くたびに、小さい頃の自分が羨ましく、そして恨めしく感じる。 今の私は、感情を解放する方法を忘れてしまったから。 歌声と一緒に、体の中に閉じこもってしまったみたいに。