「ヒロ……。
これじゃ、幸せ貰いすぎになっちゃうな」
驚いたようにクローバーに視線を落としていた明希ちゃんが、眉を下げ苦笑した。
でも、最初に幸せをくれたのは、明希ちゃんだ。
私が見つけた四つ葉のクローバーは、ひとつの葉だけが小ぶりで、なんとなく不恰好。
だけど、このクローバーは、その形のとおり世界にひとつだけの幸せを運んでくれる、そんな気がしたから。
「明希ちゃんのために摘んだの。
だから、受け取ってほしい」
「ありがと、ヒロ。宝物にする」
少ししなびてしまったクローバーを受け取った明希ちゃんを、窓から差し込む光が優しく照らした。
手に持っているのは、薔薇のような綺麗で豪華な花じゃない。
だけど、目の前の彼は、どんな童話に出てきた王子さまよりも綺麗だと思った。