この曲を大が好きなことは知っていたから、何度も練習を重ねてきた。
大に、〝ファン一号くん〟に褒めてもらえた自分の歌を聴かせたくてたまらなかった。
大の部屋にあがれば、ギターをセッティングする私の前に、まだ呆けた様子の大が座り込む。
『もしかして、それ、未紘のとーちゃんの?』
『うん。毎日花壇に水やりを続けたご褒美に貰ったの。
大がギターやってるから、私もやりたくて』
『ふーん』
『じゃあ、聴いててね』
そうしていざ弾き語りを披露すれば、胡座でやれやれと私を見つめていた大は、目を輝かせて私の演奏に拍手を送ってくれた。
『すげー! 未紘がギター弾くなんて。
しかも、俺の一番好きな曲じゃん……!』
想像していたより、ずっと。
大は弾んだ声をあげて喜んでくれて、それがたまらなく嬉しくて。