なんの用だろうと思案しながらメッセージを開けば、一枚の写真が目に飛び込んできた。
眩しい水色に染まるディスプレイ。
その中に、存在感を放つ七色の虹を見つけた。
『帰り道、空に虹がかかってた。
縁起よさそーだから、ヒロにもお裾分け』
そんな文言も添えられている。
スマホをあまり使わない上、昨日は早く寝てしまったから、着信に気づかなかった。
……この人が、昨日から私の偽彼。
そう考えると、不思議な心地になる。
明希ちゃんは、自分と付き合ってることにすることで、大の気を引いたらいいと言ってくれた。
大は……なんて言うのだろうか。
私がだれかと付き合ったら。
ディスプレイに表示された虹の写真ごと握るように、私はスマホを胸の前で抱きしめた。