自分のスマホに視線を落とした明希ちゃんが、「あ」と声をあげる。
「返信きた」
「一緒にいた人?」
そこでやっと、明希ちゃんが知り合いとはぐれていたということを思いだす。
「そう。駅前にいるって」
駅なら、さっき来た道をまっすぐ戻るだけだ。
ここからも近い。
連絡がつくまで一緒にいるという私の役目は、終わったということだ。
「連絡ついてよかった。
じゃあ、私はここで」
長居しても仕方ないと踏み、おいとましようと踵を返した、その時。
「待って、送るよ」
不意に後ろから腕を掴まれ、体の動きが制止した。
振り返れば、日中だというのに輝いて見える明希ちゃんの瞳と、私のそれとがかち合った。
明希ちゃんの申し出はありがたいけど、知り合いと待ち合わせしているのだから、邪魔はしたくない。
「ここから遠くないし、私のことは大丈夫だから気にしないで」