「本当にいいの?」
「いーの。俺も気に入っちゃったし」
CDショップを出たところで私が問うと、明希ちゃんは笑いながら、財布をボディバッグにしまった。
視聴を終え、店内をぐるりと見終えたあと、明希ちゃんは私の好きな歌手のCDを買ってくれた。
自分の好きを押し付けてしまったからではないかと内心不安になるけど、明希ちゃんの言葉にうそは見えない。
大以外の人と、自分の好きなものを共有するのは初めてで、珍しくそわそわしてしまう。
それから、ふたりで目的地もなく歩きだした頃。
「あ、そうだ、ヒロ」
不意に、明希ちゃんの声が落ちてきた。
「写真撮らない?」
「写真?」
「ん。今日の記念に」
そう言って、道の端に除けた明希ちゃんがポケットからスマホを取り出した。