ふっと微笑み、明希ちゃんが再びCDのパッケージに視線を落として、視聴に身を入れる。


私は思わず呆けたように、隣の明希ちゃんを見つめる。


いつの間にか、あんなに大好きで夢中な歌が、耳に届かなくなっていたことにも気づかずに。


……この人は、なんだか、昔お母さんに読んでもらった童話の中の王子様に似てる。


整いすぎた横顔が、少しさびれたCDショップからは浮いて見える。


だけど真剣に音楽を聴いてくれてる、その眼差しが単純に嬉しくて、私は明希ちゃんにならって音楽に耳を傾けた。