そして、日曜日。
アラームが鳴るよりも早く起床した私は、自室で髪を梳かしていた。
明希ちゃんと休日に会う時は、必ずと言っていいほど早起きしてしまう。
多分それは、無意識のうちに心が緊張しているせいだ。
だけど今日は、いつもとはまた違う緊張感を抱いていた。
髪を整え、昨夜決めておいた服に着替えた後、ギターが入った大きなバックを背負う。
──今日、明希ちゃんに歌を聴いてもらうと決めていた。
緊張するけど、失敗するかもしれないけど、それでも……。
改めて決意を固め、私は懐かしい重みを背に家を出た。
「らららー」
待ち合わせ場所に向かって歩きながら、軽く発声の調子を確認する。
……大丈夫、ちゃんと出る。
どこかまだ不安を拭いきれないでいる自分に、心の中でそう言い聞かせた。
万全ではないけれど、1日何時間もの練習を重ねてきた。
歌に対する恐怖心は、今はもうほとんどない。
明希ちゃんと出会う前の私にこの状況を伝えても、多分信じないだろう。
もう二度と歌うことなんてないと思っていたから。
明希ちゃんがこんなにも私を変えてしまったのだ。