白に近い金髪が、太陽の光を浴びて透けている。
背後に立つ加代子ちゃんが、私を見下ろした。
「ケガはねぇか? 未紘」
「う、ん。私は大丈夫」
まさか加代子ちゃんが来てくれるなんて。
だけど驚いていたのは私だけではなかった。
突然の加代子ちゃんの登場に、小林先輩の声にも動揺の色が滲む。
「なによ、あんたたち……。
グルだったの!?」
「いや、こいつの声が大きかったから気づけた。
あんなデカい声出るんだな。見直した」
表情をふっと緩め、加代子ちゃんが私に優しく微笑みかけてくる。
思いがけない言葉に目を見張っていると、加代子ちゃんが再び目を厳しくして小林先輩に向かって凄んだ。
「なぁ、センパイ。
次あたしの親友に手出したら、容赦しねぇからな」
するとそれまで呆気にとられていた小林先輩が、ふっと糸が切れたかのように余裕げな笑顔を浮かべた。
「ふふ、でもいいや。
どうせ、明希はあんたのことを覚えてない。
一度失った記憶は、取り戻しにくいんだって。
やれるもんならやってみなよ」