それまで静かだった私が突然怒りを露わにしたことに驚いたのか、一瞬小林先輩が怯む。
「なっ、なによあんた。
明希はあんたのことなんて忘れてる。
いい気味!」
どれだけ言われようと、心は負けない。
どんな運命にも抗う、その覚悟は決まった。
「明希ちゃんが私のことを分からなくても、明希ちゃんを好きな気持ちはあなたに負けない」
──だって、明希ちゃんのことが好きだから。
「くっ……生意気なのよ……!」
激昂した小林先輩が突然手を振り上げた。
ぐっと睨みつけ、頬に襲いくるであろう痛みを予感した、その時。
──バシッ。
乾いた音と共に、私は振り上げられた腕を掴む、だれかの手を認めた。
「あたしの親友になにしてんだよ、センパイ」
……この声は。
ハッとして振り返れば、やはり、彼女が立っていた。
「加代子ちゃん……」